◆「骨盤矯正で痩せる」は本当か?
「骨盤が歪んでいるから太りやすい」
「骨盤矯正でダイエットできる」
「産後は必ず骨盤矯正をしないと戻らない」
こうした言説を、SNSや広告、エステサロンの宣伝で目にすることは少なくありません。
しかし、医学的な視点から見ると、これらの多くは事実に基づいたものではなく、“イメージ”にすぎないことがわかっています。
◆骨盤はそう簡単に歪まない
骨盤は、腸骨・恥骨・坐骨といった頑丈な骨で構成されており、強靭な靭帯と関節で結合された非常に安定した構造をしています。
日本整形外科学会の見解や、PubMed(米国国立医学図書館の文献データベース)に収載されている複数の研究(例:Vleeming A, Stoeckart R, et al. Spine, 1995)でも、骨盤は成人においてはほとんど可動性がなく、日常生活の姿勢や歩行などで“歪む”ことはほぼないとされています。
“骨盤が歪んでいる”と感じるのは、実際には筋肉のアンバランスや姿勢のクセによる見かけ上の問題であることが大半です。
◆「骨盤矯正」という言葉のあいまいさ
そもそも「矯正」という言葉は、医療用語としては明確な定義が必要です。
しかし、一般的に使われている「骨盤矯正」は、整体・エステ・カイロプラクティックなどで多用される商業的な用語であり、何をどのように矯正するのか、その根拠が明示されていないケースがほとんどです。
厚生労働省も、無資格者による「骨盤矯正」の広告表示や施術が増えていることに対し、消費者に注意喚起を行っています。
◆骨盤矯正とダイエットの関係性
「骨盤を整えると代謝が上がって痩せる」
「骨盤の開きが脂肪をつきやすくする」
こういった主張についても、信頼性の高い医学論文では否定的な見解が多く見られます。
例えば、米国スポーツ医学会(ACSM)の発表や、『Journal of Bodywork and Movement Therapies』誌などでは、姿勢や骨盤位置と基礎代謝・体重減少に明確な相関関係は確認されていません。
体重の増減は、食事・運動・睡眠・ホルモンなど多因子的な要素により左右されるため、
骨盤矯正のみで体重を減らすことは不可能である
と考えられます。
◆姿勢不良=不調の原因、は一部の真実
姿勢と健康との関係についても、「猫背だから肩こりになる」「反り腰だから腰痛になる」などと単純に結びつけられることがあります。
しかし、最新の研究では、必ずしも姿勢の悪さが痛みの直接原因とは限らないことが示されています(Ref: O’Sullivan et al. “Back pain: A biopsychosocial approach”. The Lancet, 2018)。
肩こりや腰痛は、ストレス・生活習慣・筋力低下・睡眠不足など、複数の要因が絡み合った“結果”であることが多く、「姿勢矯正だけで改善する」と考えるのは早計です。
◆大切なのは「身体の使い方」
“矯正”よりも大切なのは、自分の身体の使い方や習慣を見直すことです。
筋力トレーニング、ストレッチ、日々の姿勢の意識といった要素の方が、科学的にも信頼性があります。
見た目の左右差や傾きを気にする前に、「なぜそうなったのか」を身体全体から見つめ直す視点が必要です。
また、それら左右差等は筋肉の緊張の差でもあるので、「骨格を矯正する」ということ自体がナンセンスです。
◆まとめ
・骨盤は容易に歪むものではなく、「骨盤矯正」という言葉は医学的には曖昧である。
・骨盤矯正によって直接的に痩せたり、代謝が上がるというエビデンスは存在しない。
・姿勢と不調の関係性も単純ではなく、他の要因と合わせて多角的に見る必要がある。
安易なダイエット広告や、聞こえの良い施術名に惑わされず、 自分の身体と、科学的な根拠に基づいた正しい知識で向き合っていきましょう。
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