更年期の不調を「敵」にしない。ツラさを共有し、笑い合えることで変わる心と体

40代から始まる更年期、その不調はなぜ起こる?

めまい、耳鳴り、発汗、肩こり、抑うつ、不眠…。
更年期にあらわれるこうした自律神経症状は、実は200種類以上あるともいわれています。

そして厄介なのは、これが一時的な体調不良ではなく「期」がつくほど長く続くということ。

一般的に閉経前後の約10年間(45〜55歳頃)が更年期とされ、この間、症状の強さや種類は日によっても変わります。

「頑張って治療すれば治る」というものではなく、「長く付き合っていく期間」だからこそ、しんどさが増していく方も少なくありません。

今回は、なぜ更年期にこれほど多彩な自律神経症状が出るのかという医学的な背景と、精神論に聞こえがちな
「誰かと分かち合う」
というセルフケアが実は理にかなっている、という話を掘り下げてみたいと思います。


更年期の不調はなぜ起こるのか ― エストロゲンと視床下部の関係

更年期症状の根っこにあるのは、卵巣機能の低下によるエストロゲン(女性ホルモン)の減少です。

女性ホルモンの分泌をコントロールしているのは、脳の視床下部と脳下垂体という部分です。
特に視床下部は、体温・血圧・心拍・発汗といった自律神経の働きに加え、感情の安定にも関わっています。

ところが閉経が近づき卵巣からのホルモン分泌が減ってくると、脳は「もっとホルモンを出すように」と指令を出し続けます。
しかし卵巣はその指令に応えられません。
この指令のすれ違いが視床下部の働きを混乱させ、結果として自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れてしまう、というのが現在考えられているメカニズムです。

自律神経が乱れると、暑くもないのに顔がほてる・のぼせる(ホットフラッシュ)、逆に手足が冷える突然の発汗動悸、めまいといった「血管運動神経症状」が起こります。

加えて、肩こりや腰痛などの運動神経症状、手足のしびれといった知覚神経症状もあらわれることが知られています。

夜間、本来は副交感神経が優位になりリラックスして眠りにつくはずが、更年期には交感神経が優位なまま夜を迎えてしまうことがあり、これが不眠につながるケースも報告されています。

つまり更年期の不調は「気のせい」でも「弱さ」でもなく、ホルモンの変化が神経の司令塔である視床下部に影響を与えることで起こる、身体の反応なのです。


「誰かと分かち合い、笑う」ことに医学的な意味はあるのか

私は鍼灸師として臨床の現場に立つ中で、更年期症状が重い方と軽い方の違いを見てきました。
そこで強く感じるのは、症状の重さと同じくらい、
「誰かにツラさを話せているかどうか」
が体調に影響しているということです。

A「真冬やのにあっついわ…暖房いらんわwww更年期かな?急に腹たってイライラするわ」
B「若い時からずっとイラチやん」
A「そうやけどwww」

こんなふうに誰かに愚痴をこぼし、それを一緒に笑いに変えられている方は、比較的しんどさの波を乗り越えやすい印象があります。

これは単なる精神論ではなく、いくつかの研究で裏付けが示されています。

笑うことで副腎から分泌されるストレスホルモン「コルチゾール」の分泌が抑えられることが報告されています。
コルチゾールは本来、急なストレスから体を守る役割を持ちますが、慢性的に高い状態が続くと自律神経のバランスをさらに崩し、血圧や血糖値の上昇、免疫力の低下を招くとされています。

また、人と触れ合ったり、相手を思いやったりすることで分泌される「オキシトシン」には、ストレスホルモンの過剰な分泌を抑える働きがあることも分かってきています。
オキシトシンは自律神経の交感神経・副交感神経の切り替えをスムーズにする方向に働くとされ、厚生労働科学研究でも、笑いや社会的支援を増やす心理的介入が生活習慣病の発症・重症化予防に関わる可能性が検討されています。

東洋医学ではこれを「心身一如(しんしんいちにょ)」、つまり心と体は一つのものとして影響し合う、という考え方で古くから捉えてきました。
「心のあり方で体は変わる」というのは精神論ではなく、ホルモンレベルで説明のつく現象でもあるのです。


日常生活でできるセルフケア

更年期の自律神経症状に対して、ご自身でできることもいくつかあります。

  • 誰かに話す機会をつくる…家族、友人、同じ更年期世代の知人など、症状を話せる相手を持つこと自体がセルフケアになります。
  • 適度な運動…運動中は交感神経が優位になりますが、運動後は反動で副交感神経が優位になりやすく、睡眠の質やイライラの軽減につながるとされています。
  • 就寝前のリラックス習慣…深呼吸やぬるめの入浴など、副交感神経を優位にする時間を意識的につくることが有効とされています。

ただし、これらはあくまで生活習慣レベルでの工夫であり、症状が強い場合や日常生活に支障が出ている場合は、無理せず医療機関や専門家に相談することが大切です。


それでもツラさが続く方へ

「くだらない」「ただの理想論だ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実際、これだけで全ての症状が解消するわけではありませんし、婦人科的な治療が必要なケースももちろんあります。

ですが、心のありようが自律神経を通じて体に影響を与えることは、上記のようにホルモンレベルでも裏付けがあります。
「精神論だ」と一蹴する前に、一度、誰かに今日の不調を話してみる、笑い合ってみる、ということを試していただきたいと思っています。

更年期の不調は、身体的な変化と心理的な負担が複雑に絡み合っています。
当院の更年期の不調に対する施術内容については
[スクナビコナ鍼灸院奈良学園前の更年期不調に関する施術ページ]
で詳しく解説しています。

 


当院のご案内


院名スクナビコナ鍼灸院 奈良学園前
所在地〒631-0022
奈良市鶴舞西町2−22FUN2階
TELL070-8404-5297
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